変わらないということを、変えない
2024/11/12
先日、大分県中津市にある羅漢寺に行ってきました。
このお寺は日本の羅漢寺の総代として知られ、その歴史は約700年前までさかのぼります。
インドの仏教僧が「インドの山奥にあるお寺のような場所を日本に作りたい」と願い、
この地に建立したと伝えられています。羅漢寺には700体以上の羅漢像が配され、
四季折々の美しい自然と霊場としての静けさを持つ場所です。
しかし、近代文明が押し寄せる中で、羅漢寺も時代の変化に直面しました。
本来は修行の場としての山道にはリフトが設置され、
観光の一環として賑わいが増す一方、山のもつ本来の荘厳さが失われつつありました。
観光化が進むことで賑わいが増える一方、
文化が荒廃しつつあったこの状況に、羅漢寺の現在のご住職は危機感を抱き、
10年以上かけて山をきれいにし、気を整え、参拝者に修行の場としての戒めを示すことで、
寺本来の荘厳さと静寂を取り戻しました。
その結果、観光目的の参拝者は減り、収益も減少しました。
それでも、ご住職が選んだのは「変わらないことを、変えない」という道。
歴史ある山寺の姿、訪れる人々との関係性、そして山そのものが持つ力を、
時代の変化に流されることなく守り続けています。
変わらないものを守るという覚悟は、単なる保守ではなく、
本当に大切なものを大切にする、強く清らかな意志が感じられます。
この「変えない」という選択は、
森の営みからも学ぶことができます。
森は長い年月をかけて自然の循環と調和を保ち続けています。
四季の移り変わりや外部の環境に応じて変化しているように見えても、
実際には「生命を循環させる」という根本の営みは変わりません。
木々は葉を落とし、土に還ることで新たな栄養を生み出し、
次の命を育んでいます。
植物たちは、自分の成長のために光合成を行いながらも、
その行為が他の生命に酸素を与え、森全体の健康を支えているのです。
森の営みの中で変わらないもの、
それは「自己の成長と他者への貢献が循環する」システムです。
この根本的な原理は、ひとり事業にも通じるものがあるとぼくは思います。
自己表現を大切にしながら、それが自然と周囲との関係性を育み、
全体としての豊かさをもたらす。変化に対応しつつも、
根本の価値や営みを守り続けることが、長く続くビジネスの秘訣かもしれません。
ぼくもその言葉に触れたとき、
自分の「変えないもの」に目を向ける大切さを感じました。
私たちはしばしば変化を求められるなかで、
何が本当に自分にとって本質なのか、
どの部分を変えずに守るべきなのかを見極めることが、
豊かに持続していく指針となるのではないでしょうか。
あなたの「変えないもの」は何ですか?