森の思考 vol.8|森のような営みが、社会とつながるとき ─『Qualitas』掲載によせて
2025/05/27
先日、『Qualitas』というビジネス誌の取材を受けました。
テーマは「生き方とビジネスのつながり」。
そして、なぜ今、「森のようなひとり事業」という営みをしているのか。
取材の依頼をいただいたとき、ぼくの中には少しの戸惑いもありました。
なぜなら、ぼくがやっていることは、
いわゆる“成果”とか“成長戦略”といったビジネス誌で語られるようなこととは、
少し異なるからです。
でも、今という時代にこそ必要な「もうひとつの在り方」があるのではないか。
そう思って、ゆっくりと言葉を選びながら、お話ししました。
森には、リーダーはいません。
木も草も鳥も菌も、みんな違う役割を持ちながら、
支配することなく共存しています。
そんな営みから、ぼくたちの働き方や事業も学べることがあるのではないか――
そう感じるようになったのは、理学療法士として人の身体と向き合いながら、
同時に、土に触れ、自然と暮らすようになってからでした。
呼吸を整えるように働くこと。
繁りすぎず、でも、枯れすぎないように。
関係性の中で、自分という存在を育てていくこと。
「ひとりで事業をする」という選択は、
実はとても深い“問い”を含んでいる気がします。
ぼくが大切にしているのは、
事業を「何かを獲得するための手段」ではなく、
「自分自身の在り方や世界との関係性を耕すプロセス」として捉えることです。
だから、事業の成功を「売上」や「成長曲線」だけで測ろうとは思いません。
それよりも、
・自分の内側から本当に望むことに取り組めているか
・誰かとのつながりが、豊かさとして循環しているか
・無理のないリズムで、長く続けていけそうか
そんな“生命としての健やかさ”のようなものを、ぼくは事業の指標にしたいと思っています。
それはきっと、資本主義の中で効率や競争を求めるあり方とは対照的な、
「育てていく」「共にある」「還していく」といった、もっと有機的な営み。
ぼくのもとには、
そんな新しい在り方を模索している個人事業主やひとり経営者の方々が多く訪れてくれます。
今までのやり方ではどこか違和感がある、
でも、どう進んでいいか分からない。
そんな方と一緒に、
「自分らしい事業の根っこ」を耕していくのが、個別メンタリングという場です。
また、LANDという学びの場では、特にハンドメイドや講師業の方を中心に、
「ひとり事業を育てる力」を体系的に学びながら、仲間と循環する関係性をつくっていくことを目指しています。
いずれの活動も、今回の取材で語った“森のような事業観”を土台としています。
たぶん、この記事を読んですぐに何かが変わることはないかもしれません。
でも、心のどこかに「そうか、こういう在り方もあるのか」
という種が残ったなら、それだけで充分です。
これからも、森のように静かに、
でもたしかに広がっていくような、
そんな営みを大切にしていきたいと思います。
もし今、あなたが「自分らしく、でもひとりで抱え込まずに事業を育てたい」と思っていたら、
今回の記事が、何かのきっかけになればうれしいです。
▶︎ 『Qualitas』掲載記事はこちら
https://www.qualitas-web.com/kasahara_toshiya


