自然の摂理を無視したビジネスの行く末
2024/08/08
森の中で見られる自然な循環。
植物たちは自己の成長のために行動しながらも、それが森全体の繁栄に貢献しています。前回のブログで触れたように、自分のための行動が他者のためになり、豊かな関係性を築くことができるこの「森の法則」。もし、このような関係性を土台に事業を展開できたら、自分も豊かになり、お客さんとの関係も良好で、自然とコミュニティも形成されるはずです。こうして事業の生態系ができれば、持続可能なビジネスが築けるのです。
しかし、現実はそう簡単ではありません。周りを見渡すと、多くの人がこうした自然な関係性から遠ざかっているのを感じます。
「何のためにやっているのかわからない」
「もっともっと売り上げを上げないと」
「とにかく集客しないとノルマが達成できない」
これらの声は、自己表現や他者貢献ではなく、結果や成果だけに焦点を当てた考え方から生まれています。
産業革命以降(18世紀後半から19世紀前半)、そして日本の高度経済成長期(1950年代から1970年代)における右肩上がりの成長を目指す風潮が影響を与えています。その過程で自己を犠牲にし、他者を搾取し、環境を破壊することすら厭わない。SDGs(持続可能な開発目標)も、考え方として取り入れるのではなく、単なる手段として利用し、それを集客のネタにしてしまうこともあります。
本来の自然の摂理や原理原則を無視して、お金だけを集めようとしたり、規模の拡大を追い求めたりする。お客さんの喜びが単なる付属品のようになってしまう。これでは、やがて行き詰まってしまいます。事業者も顧客も、どこかで燃え尽きてしまうのです。
森の視点から考えると、これが自然な結果であることがわかります。理論で理解できなくても、感覚的に感じ取っている人も多いでしょう。
では、なぜこうした状況が生まれてしまうのでしょうか?
それは、自然の営みと人の営みを分けて考えてしまうからです。人間も自然の一部であり、その中で生きているはずなのに、私たちは自然の摂理とは異なるルールを作り出し、追い求めてしまう。その結果、続かなくなり、破綻し、関係性の対立が生じるのは避けられないことです。
だからこそ、「森の視座」を持つことが大切だと思います。「森の視座」とは、植物、太陽、土、昆虫、微生物など様々な存在の視点から、森の中での関係性を洞察することです。
この視座から得た洞察を基に、「森の思考」を取り入れて思考を進めることが重要です。森の思考とは、自然の生態系システムを知り、それをビジネスや暮らしにどう活かすかを考えることです。こうして得られた洞察を元に行動すれば、より持続可能な関係性が築けるでしょう。
自然の摂理に目を向け、自分の行動が他者や環境にどのような影響を与えているのかを考えてみませんか?