「森の思考」vol.15|目に見えない「根」と、巡る「パターン」
2025/06/04
先日、クライアントさんとのメンタリングでした。
事業の具体的な進め方や方向性、
コミュニティメンバーとの関係性、
お店のルール作りといった話を進めていました。
その上で、ぼくたちが対話したのは、
事業という表面には出てこないけれど、
非常に大切なこと。
それは、「自分という存在」についてです。
事業といっても、それを考え、動かすのは人。
特に一人経営者や個人事業主の場合は、
自分の価値観や思想、行動が、
そのまま事業に反映されることが多い。
そして、人との関係性を構築することが、
そのほとんどを占めます。
だからこそ、事業という目に見える外側の部分を整え、
ケアしていくことの重要性と並行して、
経営者自身の心と身体のケア、
そしてそもそもの存在に対する認識を深めていく時間が必要だと、
ぼくは考えています。
身体が語る「パターンの声」
今回のメンタリングでは、
特に「パターン」について焦点を当てました。
「〜すべき」「〜したほうがいい」といった、
他者や社会からの影響に対して、
ぼくたちは感情が動いたり、身体が反応したりします。
それは、自分自身の価値観や、
幼い頃からの経験によって作られた
期待に基づいていたりすることも少なくありません。
ある程度の大人になると、
そうしたパターンができていて、
その自分自身のパターンを見つめ直す、
そんな時間を持ったのです。
うまくいっているときのパターン。
その時に生まれる感情や身体の反応はどうでしょう。
同様に、うまくいっていなかったり、
落ち込んでいるときの感情や身体反応。
また、ネガティブではないけれど、
ただ立ち止まっていたり、悩んでいるときの反応。
ぼくたちの人生において、
そういったことは様々な反応として、
これまでもパターンを繰り返していることが
多いものです。
このパターンを認識することによって、
自分が良い循環に入るパターンを、
さらに生かすことができる。
あるいは、ネガティブな方向に行くパターンを見直し、
より良いほうの循環につなぐ
プロセスを考えることができるのだと、
ぼくは思います。
事業の「根っこ」を育む
こういう目に見えない部分や、繰り返されるパターン。
それは近代のビジネスでは「ないもの」
とされることが多いかもしれません。
自然においては、目に見えているのは、
地上に出ている木や果実、
葉っぱといった部分だけです。
しかし、実はその木を形作っている根っこ、
そして根っこの周りにある土壌の中の栄養分や、
目に見えない菌類、虫たち。
そうした地中での活動があって、
初めて目に見えるものが成り立っています。
だから、何かうまくいっていない時に、
目に見えるところだけをケアしても、
根本的な解決にはならないことがある。
そんな時に何をしたらいいかというと、
もしかしたら土の状態や、
根っこがちゃんと地に深く根付いているか、
そういったところが大事だったりするのです。
それ自体が、
今回のメンタリングでぼくたちが向き合った、
自分を内省し、今までのパターンや価値観、
感情と深く向き合っていくことにつながっていくのだと思います。
パターンの繰り返しは、
季節のようなものだとぼくは感じています。
全く同じではないけれど、
円環的に繰り返されていくパターンというものがある。
だから、春の間に夏に向けて衣替えをしたり、
エアコンをクリーニングしたりする。
そのように自分のパターンを知っていくと、
あらかじめ備えて行ったり、
それが起きたときに、
そのまま受け入れるという準備ができてくる。
そんなことを、事業という営みと自然の営みが、
いかに似ているかと感じる時間でした。
【今日の問い】
あなたはどんなパターンをもっていますか?
【理論背景・参考文献】
自己認識とパターン:
認知行動療法(CBT):
思考、感情、行動のパターンを特定し、より適応的なものに変えていくアプローチ。
発達心理学:
幼少期の経験が、その後の行動パターンや感情反応に影響を与えることを示唆します。
自己組織化(オートポイエーシス):
F.ヴァレラやH.マトゥラーナらが提唱。
システムが自律的に自身のパターンを維持・生成していく概念は、個人の行動パターンや事業のあり方にも通じるでしょう。
身体の知と感情:
ソマティック・アウェアネス:
身体の感覚や動きに意識を向け、自己認識を深める実践。感情が身体に表れることの理解を促します。
ポリヴェーガル理論(スティーブン・ポージェス):
自律神経系の働きが、安全・危険の知覚や社会的な関わり、感情反応にどのように影響するかを説明します。
事業と生態系:
システム思考:
バリー・オシェアらが提唱。
個々の要素だけでなく、それらが互いにどのように影響し合い、
全体として機能しているかを理解する枠組み。事業の目に見えない「根っこ」の重要性を示唆します。
リジェネラティブ思考:
自然の生態系が持つ再生・回復の力を人間のシステムに応用する考え方。
表面的な問題解決だけでなく、根源的な土壌の再生を目指します。


