「森の思考」vol.14|お金は水のように──育む事業と循環する価値
2025/06/03
世の中のSDGsの動きを見ても
近代ビジネスにおける
売上をひたすら上げ、利益を追求する結果/成果主義が、
もはや持続可能ではないことは明らかです。
ビジネスにおいて、顧客から搾取する勢いで買わせたり、
不安を煽って購入を促したりすることは、
一時的に売上を上げるかもしれません。
しかし、それは不信感を生み、
関係性を崩壊させてしまいます。
一つ目の商品やサービスは受けてくれても、
それ以降は続いていかない。
これは誰の目にも明らかではないでしょうか。
では、収益や売上を上げずにお金を得ることが「悪」で、
自然体なビジネスにおいては、
お金を稼がないことが「正解」なのかといえば、
それは「ノー」です。
お金がなくなってしまえば、
事業自体が存続できません。
存続できないということは、
せっかく自分の商品やサービスを
必要としてくれている人がいたとしても、
続けられないという、
むしろ迷惑をかけてしまう事態が起きてしまうのです。
自然の循環から学ぶ「お金」の役割
自然界では、生態系が成り立っているからこそ、生命が続いていきます。
しかし、生態系は最初から完成しているわけではありません。
少しずつ成長し、育まれていくものだと、ぼくは思います。
近代ビジネスでは、市場調査から
「何が必要とされるか」「何が売れるか」を考え、
商品やサービスの内容を決めることが多いでしょう。
でも、自然はそんなことをしているでしょうか。
りんごの木はりんごしか育てられません。
たとえ梨が求められていても、りんごの木は梨を作れないのです。
つまり、自分が作れるもの、自分が表現できることしかできない。
その上で、その中で何を求められているか、
どんなものが必要とされるかというように、
成長し、進化していくのだと思います。
事業においても同じだと、ぼくは考えています。
市場から調査をするのではなく、
自分の好きや得意、経験、才能といったものを、
まずちゃんと棚卸しして、向き合い、見つめ直す。
時にはそれを掛け合わせたりして、
自分がどのような表現をしていきたいのか、
どのような表現をしている自分が幸せなのか、
というところをまずちゃんと見つめていく。
そして、その上で、自分が来てほしい人、
一緒にいたいと思う人が、
何を求めていて、何に悩んでいて、
どんな願いや祈りがあるのか。
そことの接点を紡いでいくことによって、
それが売れる商品やサービスになっていく。
つまり、その形で収益を得ていくことは、すごく必要だと感じています。
お金は「水」のように
ぼくは、自然においてお金は「水」のようなものだと考えています。
畑をしたことがあったり、観葉植物を育てる人ならわかるかもしれません。
種を植えたり、苗を植えたり、鉢を交換したりするときに、
最初に大量の水が必要になります。
土の栄養があって、そこに水があることによって、
しばらくは他の関係性が乏しくても、
それで成長していくことができるのだと思います。
事業も同じで、最初に全くお金がなかったら、
もう続けられないということが起きてしまうから、
最初にちゃんとお金を作るということを考えていかなければいけません。
ただ、一つ間違えてはいけないことがあります。
お金を作ることを目的にしてはいけないということです。
植物も水を植えることが目的ではなくて、
成長していくこと、子孫を繁栄していくこと、
持続していくことが目的です。
事業においてもお金を得ることが目的なのではなく、
自分の成長だとか、持続して続いていくこと、
関係性を築いていくということが
すごく重要になっているのだと思います。
だから、近代ビジネスにおけるお金を否定するという立場ではなくて、
お金との関わり方というものをちゃんと考えていく必要がある。
ひとり事業においてお金を追い求めるということは違うけれど、
逆にお金を否定し、ただただいい人でいるというところも、
事業が発展していかない理由になってくるのではないでしょうか。
そう考えると、お金というのは、
価値とお金の一対一の関係ではありません。
他のサービスや商品、
その先にある願いや祈りが実現するといった、
複雑な中での一つのわかりやすい手段だと考えています。
だから、そのお金の捉え方というものをもう一度捉え直し、
お金を否定するわけでもない。
そしてお金をただただ追い求めて
右肩上がりの成長をするわけでもない。
それを介して、どのような関係性を築いていって、
持続可能な事業にしていくかというところが、
とても重要になってくるのだと思います。
【今日の問い】
あなたにとって、お金はどのような役割を果たすものですか?
【理論背景・参考文献】
◉持続可能性とビジネス:
・SDGs(持続可能な開発目標):
国連が掲げる持続可能な社会実現のための目標。ビジネスが社会課題解決と両立することの必要性を示唆しています。
・リジェネラティブ・エコノミー:
ジョン・フラー・アレンらが提唱。単なる持続可能性を超え、システム全体を再生・進化させる経済のあり方を追求する考え方です。
◉価値創造と自己認識:
・内発的動機付け:
エドワード・L・デシらが提唱。報酬や成果のためではなく、活動そのものに喜びや関心を見出すことが、持続的な活動につながるとされています。
・強みベースのアプローチ:
マーティン・セリグマンらのポジティブ心理学に代表される、個人の強みや才能を活かすことで最大のパフォーマンスと幸福感を得る考え方です。
・循環と関係性:
生態学: 自然界の生命が互いに依存し、循環するシステムを構築していることを示します。
ビジネスにおける顧客との関係性も、一方的ではなく相互的なものとして捉える視点を与えます。
・ギフトエコノミー:
貨幣経済とは異なる、贈与と返礼の循環によって成り立つ経済のあり方。
直接的な金銭のやり取りだけでなく、信頼や感謝が価値となる関係性を示唆します。


